カミサマごっこ

徒然なるままに、オタクする。

『WHITE ALBUM2』プレイ日記coda雪菜true感想

日目

えーと、お久しぶり……です?
とりあえず、更新が遅れて申し訳ないです。

さーてと。何はともあれ、まずはここから。
プレイ順的には一般的なそれとはかなりかけ離れたものなのかもしれないけれど。
もしかすると、もっと感動を噛み締めることができるような道のりがあったかもしれないけれど。
それでも一応。ぼくなりのやり方で、coda雪菜ルート、完走しました~~~!

前回がcodaに入る前の触りみたいな感じで終わらせたはずなので、今回はcodaのシナリオについて全体的に話していこうと思ってます。
あ、この文章が敬体になってる理由は感謝とか感動とかそっちからです。丸戸先生、本当にありがとう…………。

何から話せばいいか、と迷うからシナリオを追って語っていこうと思う。もちろん、話の順序が支離滅裂で、あっちゃこっちゃ飛んでいくこともあるかもしれないけれど、そこはご容赦を、ということで。

始まりはストラスブールでの5年越しの邂逅。決して出会ってはいけないふたりが、天文学的な確率で、かつ最悪のタイミングで──
この辺の春希とかずさのやり取りを見ているのがあまりに辛くて、しんどくて、ひたすらにvitaの〇ボタンを連打するマシーンと化してました。何がしんどいって、春希がかずさのことを愛してるってことがひしひしと伝わってくるのが、雪菜に肩入れしているぼくとしてはしんどかった。あたかも自分が雪菜であるかのように会話を聞いてました。これまでは、プレイする場所に関わらず、必ずイヤホンでプレイしていた(その方が雪菜やかずさの声が直に伝わってきて好きだから)のですが、この時は春希とかずさの楽しそうな声を聞いているのが辛すぎて、イヤホンではなくスピーカーでゲームを進めてました。それでもきついことにはきつかった。目線を変えれば、introductory chapterの頃のかずさももしかするとこんな思いを抱いていたのかもしれないな、ってふと気がついたけど、そんなことを考えたのはついさっきで。プレイしていた数日前は、本当にただただしんどかったです。
ちなみに、雪菜には正月前の段階で、かずさと会ったことを正直に伝えました。雪菜に隠し事をするのはやっぱりぼくには無理です。どんなに春希が上手に隠そうとしても、雪菜はきっと、どこかしらで気がついてしまうから、なんて理性的な理由は後付けだったりして。ただただ、雪菜に隠し事をしているのが辛かったからです。コンサートの後の春希も言ってますが、これ以上雪菜のことを裏切ったり、騙そうとしたりするのは、メンタル的に無理。
個人的には、浮気や不倫は墓まで持っていけ、って思ってるんです。上手に隠して、何としてでも露呈しないようにハラハラしながら、十字架を一生背負って生きていくのが、相手に対する何よりの責任の取り方かなって。結局のところ、相手に吐露してしまいたい理由は、全部吐いて、背負ってきた荷物を全て投げ捨てることで楽になりたいから、でしかないと思ってるんです。罪を捨てないことが、たとえ身勝手でも贖罪なのかなって。
だとしても、最終的に隠しきれなくなってしまうのであれば、いつ言っても同じ話で。むしろ、隠した分だけ不信感は募るわけですしね。雪菜には隠し切れない、ってintroductory chapter、closing chapterを通して痛感していたところだったので、覚悟を決めて、打ち明けるしかないと思いました。これが雪菜エンドに繋がったのかどうかはわかりません(少しメタ的な読みがあったことは否定しません)。

さて。出張から帰国して、かずさの来日コンサートを知った春希。かずさとの再会を告解したことで雪菜とギクシャクする一方で、冬馬かずさ密着取材によって、かずさとの距離を一気に縮めていく。刻々と迫るコンサート当日──

「私が先だった,私が先だったんだ」
はい、これ。本当にこれ。
それで、この作品で1番泣ける曲なんですよね、『After all 綴る想い』(DAMには入ってませんが、JOYならカラオケで歌えます)
実のところ、そんな気はしてたんですけどね。ぼくは、ic→cc雪菜ルート→coda雪菜ルートって走り抜けてきたので、かずさが初キスの相手だってことは確定はしてなかったんです。icの雪菜の言葉の節々を思い出すと、なんとなくそうかなあーって、そんな曖昧な感じだったわけですが。
春希を取られるとは思っていなかったからこそアクションを起こさなかったかずさですが、もし、もし雪菜の気持ちを知っていたら、かずさは春希を奪ったんだろうか、って。それだけがものすごく気になります。
ぼくはプレイ中、雪菜しか見えてなかったのでかずさを受け入れる選択肢はありませんでした。拒絶したかった。受け入れることが辛かった。かずさとキスするシーンもちょこっとだけ覗いたんですけど、もう無理だったんで即時撤退です。
話あっちゃこっちゃいくんですけど、かずさが変装するために作った姿、伊達眼鏡で髪結んでってそれ完全に雪菜じゃーん……と。
雪菜はいつだってそばにいたんですよ。外での格好は昔の雪菜でしたし、何よりもぼくは雪菜になった気分で、春希とかずさを見てました。だから、とても辛かったです。でも、かずさもicで同じ思い、してるんですよね。受け入れるかどうかを選べるcodaなだけまだマシかもしれません。

ついにコンサート当日。雪菜のもとへ向かう春希。もはや壊れてしまったかずさ。そして、明かされる冬馬曜子の病気。何重もの困難に襲われる中で、春希と雪菜はかずさを立ち直らせるべく動き出す──
雪菜とかずさのバトルは、まさに丸戸さん、って感じでしたね。
あと、このふたりの言い争いの中で、雪菜はかずさに「臆病者」と言い、かずさは雪菜に「偽善者」と言い返すわけですが、これもなかなか面白いなと思いました。
もしも、雪菜が偽善者だとしたら「本当はかずさのことなど好きではなくて、春希のために嫌々役を引き受けている」ということになりますし、かずさが臆病者だとすれば、「春希のことが好きで好きで仕方ないが、臆病さ故に想いを打ち明けることができなかった」となるわけです。
しかしながら、お互いにとってその認識は辛く苦しいものです。本心では「雪菜が自分のことを好きだというのは本音であってほしい」「かずさが春希に想いを打ち明けなかったのは、春希のことをそこまで好きでなかったからこそ、であってほしい」なんて願ってるわけです。お互いの願望と真反対のことを叫んでいるからこそ、雪菜が言うような、「こうなっちゃう」わけですね。
かずさの言葉を借りるなら、「不倶戴天の敵」なのに「親友」でありたいふたりの複雑な感情がそこにあるからこそ、ふたりは素直になれないのかな、なんて思いました。同じ空の下で共には生きられないことと、親友であることは、普通どう考えたって両立などできっこないわけですが、それをしたいというワガママが、無自覚に歪んだ関係の原因なのかもしれないな、と。

なんとか立ち直ったかずさの加入で、とうとう軽音楽同好会は再び動き出す。コンサートへのタイムリミット、雑誌の締切が迫る中、かずさからは驚きの提案が。3人旅の終着駅はいずこへ──

はい、やっと……やっとcoda雪菜trueが終わります。終章です。
この3人の雰囲気は、icの合宿の頃のそれと本当にそっくりなんです。
「俺たちが3人でいられた最後の日だった」
この言葉は、ic文化祭当日の春希の独白です。この言葉は果たして、codaでも有効なのでしょうか。
別作品の考え方を引用してしまいますが(巧妙なステマ)、『とらドラ!』の川嶋亜美ちゃんも言っているように、告白をなかったことになどできないし、好意を知ってなお、知らんぷりして今まで通り~などということはできません。つまるところ、好意を知ってしまえばその関係は崩れてしまうわけです。より正確に言えば、必ずしも崩れてしまうわけではありませんが、それでも以前と同じ形のままで……というようにはいかないものです。いい方向にしろ、悪い方向にしろ、変化は確実に訪れます。
だから、先ほど言ったように、雰囲気が"そっくり"なのですが、それはあくまでもそっくりなだけで、贋作に過ぎません。
それでも、たとえ贋作であっても意味が無いなんてことは思わないし、思いたくないんです。それを確認するプロセスが、春希が雪菜を頼り、雪菜がかずさを救った流れだったのだろうと思います。ニセモノであっても、もう一度ニセモノが見たかったんです。それは3人でいることを諦めるために──
3人でいたいんです。でも3人ではいられない。不可能だから実現しないだけであって、実現させたいという思いは変わりません。
けれど、3人でいられないこともまた必然なんです。3人でいたいと思いつつも、雪菜もかずさもふたりきりでいたいと願っているから。
だから、ちょっとずつ慣れたんです。ひとりぼっちと、ふたりっきりに。
そういう意味で、軽音楽同好会再結成に至るまでの道のりは、3人でいることを諦める覚悟を決めるものだったと言えるでしょう。
故に、辿る流れは全く同じなのです。祭りが終わってしまえば、贋作は呆気なく砕けて、霧散してしまう。付属祭の時と何が違かったかといえば、3人の時間が終わってしまうことを、3人ともが理解して、ステージに臨んだことにほかならないのでしょうね。
さて、当ルートは雪菜trueと謳っていますが、かずさの名言も目立ちました。
「あたしの目指す場所じゃなくていい。ただ、あたしの帰る場所でいてくれればいい」
個人的には、本作通しても屈指の名言だと思ってるんですこれ。
かずさの世界にそれまでいたのは、春希と曜子だけだったわけですが、春希は雪菜を選び、曜子は病から死の危険すらもありうる状況になりました。つまるところ、以前までのかずさの世界は崩壊目前だったわけです。
そんな中で、雪菜と向き合い、3人での時間を経て、春希への感情を「愛してる」から「大好き」に変えたように、曜子に対する感情もまた「目指す場所」から「帰る場所」へ変えたわけです。
ぼくは、感情が「変わった」とは思ってないです。「変えた」というか、変える覚悟を決めたというのが正しいと思ってます。だって、人の気持ちってそんな簡単に変わりませんから。5年思ってきたなら、忘れるのには10年はかかるでしょうし、曜子との付き合いはもっともっとですから。それでも、かずさにとっては大きな変化だろうなと感じました。大局的な意味では、感情は変わってるんですが、こういうのってシロクロ明確につけられないのが難しいですね。かずさの変化が明に表れた一言でした。
雪の中での春希と雪菜の掛け合いは、本当に、codaの集大成だったと思います。全てが素晴らしいの一言に尽きます。生憎、語れるだけの言葉を持ち合わせていないのでこれ以上の言及は避けますが、何度も見直すくらいには好きです。

さて、総括ですが。
この歪な三角関係は、誰かが変わることなくして、解決はなかったんです。それに、解決しなければ誰かが壊れてしまうこともまたcoda中盤までで明らかにされてきたことでした。
では、変わったら負けなのでしょうか。それとも、変われないことこそが敗北なのでしょうか。
春希を諦めたかずさは負けたのでしょうか。しかしながら、結婚式で泣いていたのはかずさではなく、雪菜でした。
変わった誰かも、変われなかった誰かも、何もかもを受け入れることしかできなかった誰かも。
誰も彼もが苦しんで、辛い思いをして、こんな苦々しくて恥ずかしくて、でもどこか誇らしい感情を、一生抱えて生きていくのだと思います。

最後にひとつ気になったことを書いて終わりにします。
全ルート通してですが、雪菜のわがままさが変わってしまったシナリオは、例外なく幸せな終わり方をしないです。幸せの概念は人それぞれであり、殊ギャルゲにおいては相対的評価しかくだせませんが、他ルートと比べてみると、すっきりしないエンディングを迎えることが多かったように思います。
だとすれば、『WHITE ALBUM2』とは小木曽雪菜のための物語だと言えるでしょうね。

まあ勘なんですけど、丸戸先生はきっと、かずさのためにシナリオを書かれたのだろうな、と。根拠も一切ない憶測ですが、そんな妄言を結びの言葉とします。