カミサマごっこ

徒然なるままに、オタクする。

『WHITE ALBUM2』プレイ日記、2日目

2日目

先に書いておきます。これ以降、このゲームの性質上、オタクの気持ち悪い恋愛論語りが登場しちゃう可能性があります。気持ち悪いと思ったらブラウザバックするか、ぼくに暴言吐き散らしにくるかすることを推奨します(Twitter @hope_0923)

……はい、それでは。この記事を書き始めたのが現在3月24日の3時19分。さっきまでPSvitaの〇ボタンを片手で連打しながらティッシュで目頭抑えてました。まずは、introductory chapterを完走した自分を褒めてやりたい、今はそんな気持ちに溢れています。

改めて。introductory chapterを無事完走(というか、完視聴だけど)しました。だいたいですが、14時間ちょいあれば完走できるくらいの分量だと思います。この作品を14時間プレイし続けられる人間が実在するかどうかはまた別としても。
(ここで前記事と打って変わって、常体から敬体へと変化していることに気がつく。今、おセンチな気分なのでちょっと仕方ないんです)

それで……何から書こうかなこれ。
3人での温泉旅行から、卒業してかずさが旅立つまで、その間のお話でした。
……何も言えない、とかそんなクソみたいなこと言ってたら、なーーんも書けないので、とりあえずぐだぐだと。

まず、春希くんに関して。ぼくは春希くんに対して「何だこの浮気カス野郎」とかは思ってません。それは、彼の近しい友達、武也や親志たちも同じことでしょう。……武也の節操のなさで慣れてしまった、という可能性は否定できませんが。
彼らにとっては、雪菜もかずさも等しく可愛い女の子であり、裏を返せばその程度の存在でしかありません。すなわち、春希くんのそばにいるのは雪菜でもかずさでも──他の女でも、まあとにかく誰だっていいわけです。春希くんがそれを幸せだと感じてさえいれば。
雪菜を愛してなお、かずさへの気持ちを振り切れない春希くんは、明らかに苦しんでいました。春希くんが苦しむことは彼らの望みとはまさに逆ベクトルです。だから、武也が音楽室で春希くんに言い聞かせたりとか、卒業式の後にあんなことを言ったりとか、してたんでしょうね。
きっと、春希くんは雪菜でもかずさでも、どちらとくっついても幸せになったことでしょう。それは、「雪菜かかずさを"選べば"」の話です。迷うことが苦しみなのですから。
選ぶことは苦痛であり、故に選べないことは必然で、自然で……。

昔、知人に言われたことがあります。人は足を踏み外したくらいでは奈落の底には落ちない。奈落の底にいるのは、望んでそこに来た人ばかりである、と。
そういう意味では、彼はまだ奈落の底で息を吸うことを望んでいたわけではありません。選ばないことに甘んじてはいても、選ばないことを望んでいたわけではない。開き直っていたわけではないです。選ぼうとはした。選べませんでしたが。それだけが、今はただ1つの救いです。そして、この救いこそがプレイヤーに共感させる楔であり、プレイヤーと春希くんを繋ぐ首輪であったのだと思います。
浮気性のクズ野郎、2股かけることを気にも留めず、女を傷つけても何も感じない。取り繕うために平気で嘘をつき、快感に溺れていく。そんな、非現実的な男ではなくて。
昨日の今日までは本当に真面目の真面目で、嘘をつくことにさえ苦しんで、大事な人を傷つける自分を嫌悪して。そんなリアリティのある主人公を、明日にはこうなってしまうかもしれないプレイヤー像を見事に作り上げたからこそ、この作品が賞賛され、評価されていることはまず疑いようもないです。
明日にもこうなってしまったプレイヤーはきっと、こうつぶやくことでしょう。
「どうしてこうなっちゃったんだろうな……」なんて。

さて。雪菜とかずさ、ふたりのヒロインについて。
ぼくは今でも雪菜が好きですが、この展開でふたりのヒロインのどちらかを贔屓して書くことは、まともな神経の人間には不可能だと思います。心が壊れる。
雪菜はこうなることがわかってたんでしょうか。こうなることがわかってたとしたら、告白しなかったんでしょうか。
かずさの対応もまずかったように思えます。かずさが強引にタクシーに乗っていれば、かずさが春希くんの連絡をぶっちせずに、友達としての距離感を保ってさえいれば…………いえ、それでもこの結末になったのでしょうか。
誰が悪かったんでしょうか。それとも誰も悪くなかったんでしょうか。
もしも、春希くんがスーパーでバイトしてる雪菜に気が付かなければ。もしも、かずさが母親から捨てられなければ。もしも、雪菜の誕生日がもう1日早ければ。もしも、もしも、もしも…………。
全て仮定の話です。意味はありません。それこそ丸戸先生に聞いてみないとわかりませんし、丸戸先生でさえわからないこともあるでしょう。
ただ、そんなちゃちい仮定の1つや2つで、この悲しい結末がひっくり返せるのだとしたら、この世界はなんて残酷なんだろう、と。そればかりを思います。

知らず知らずのうちに「どうしてこうなっちゃったんだろうな……」って、つぶやいてます。

特筆すべきシーンに関してはいちいちセーブするようにしていたのですが、あまりに多すぎるので割愛します。ぼくが泣いたシーンの2つにのみ言及します。

片方は、雪菜の誕生日の、路上でのあのシーンです。かずさが初めて想いを吐き出す、あのシーンです。
生天目さんの演技に震えました。弱いかずさの見せ方が心にぶっ刺さりました。
3人でいること、雪菜が画策した(雪菜談)とおり、それはつまり春希とかずさが友達関係にいることにほかなりません。そして、それは春希もかずさも気持ちを押し殺すことと同義である、と。歪んだ、あまりに歪んだ関係性、ですが、歪ませないと成り立たない関係です。
一般論ですが、口に出すことと思うこととでは天と地ほどの差があります。口に出した瞬間に、それは他人に評価されるからです。陰口も浮気も殺意も、思っているだけならば自由ですし、そこに責任を持つ必要などありません。
それでも、口に出すならばそれは他人に評価されることを覚悟しなければならない。他人に評価されたくないならば、口に出さないという断固たる決意が必須です。
だからこそ、かずさは気持ちを抑えられなかったからこそ、春希くんとの連絡を絶った。それが春希くんの想いに火をつける要因となったことは間違いありませんが、かずさを責めることがいったい誰にできることでしょう?
そんなかずさの、今までの全てが爆発したのがあの夜でした。強くて逞しく、傍若無人、唯我独尊な冬馬かずさを十数時間見てきたからこそ、初めて炸裂する弱い冬馬かずさは、強烈に心に刻まれました。

もう一方は、まあ勘のいい方は予想されてるかと思いますが、卒業式の夜のあの瞬間です。
「声だけなら、伝えられる気持ちって、あるよな」
このセリフがもうダメでした。伝えられなかったこと、伝えられない状況になってしまった後悔、本当に欲しかったものと真摯に向き合えなかった自己に対する嫌悪。あるゆるものを背負って、ボロボロになって、最終的には投げかける相手が春希しかいなくて。戻ってくる場所は同じで。
同時に、そんなかずさを察していたからこそ、雪菜も苦しみ、かずさに何度も問いかけていました。
雪菜が3人を望んだのと同じように、かずさもまた3人を望んだ。春希も3人を望んだからこそ、このどうしようもない地獄へと終着してしまいました。
不幸だったのは1つだけ。誰ひとりとして、3人でいることを望まなかったことだけです。

最後の最後に、空港で抱きしめられ、唇を塞がれるかずさ、それを見ることしかできない雪菜。立場の逆転です。
こうなれば雪菜は深く傷つく。そんなことはずっと傷つけられてきたかずさだからこそわかっていたはずです。腕の中でかずさはどんな想いを抱いていたのでしょうか。最後の最後で、本当の意味で、雪菜と気持ちを共有できたのではないかな、なんて愚考しているぼくです。
「傷ついて……傷つけられて」と、寸分違わぬことぇしょう。

…………ここらへんで今日はお開きにしましょう。はからずも昨日と同じ、約3000文字です。言葉にしてもしても足りない。言葉がこんなに軽いものだなんて、ね。

丸戸先生、ありがとう。人を絶望させる天才だと思います。
このブログを1時間で書き終えた今、PSvitaを叩き割りたい衝動に駆られてますが、明日もこのゲームをプレイするのでしょう、きっと。

明日はちょいと忙しそうなので、まあもしかしたら……ですけどね。

最後に。
雪菜もかずさも選べなかった自分は、雪菜もかずさも選べなかった春希と全く同じなのだと。痛感しています。